IMG_6438-01-02
運動会も遠足もピクニックも、母が作ってくれたのはおにぎりでした。おにぎりは、私の心の食べもの。うちのママのは丸くて大きめ、海苔は別に添えてあって、ぱりぱりでした。今の私が作るのは、三角で小ぶりで、海苔がついていないもの。

アメリカの(というかアラスカの)高校に通った時に、迎えてくれたお家のマムが毎日作ってくれたお弁当は、ピーナッツバターとジェリーのサンドイッチ、セロリのくぼみにピーナッツバターをみっちり詰めて、レーズンをちらしたスナック。私はそれも大好きで、いつもぺろりと平らげていたけれど、ひと月くらい経ったある時。日本の同じ高校から交換留学で一緒に来ていたクラスメイトの男の子(まるで従兄弟みたいに仲良くしていた)が、たまちゃん、ご飯炊いて、おにぎり作れる?と小さい声で聞いた。なので、ふたりでホームシックを吹き飛ばす会を実行!

IMG_6946-01-01
いつもは何それー?と周りの注目を集めるので敬遠していた秘蔵の海苔もこれまた秘蔵の梅干しも、荷物の底から引っ張り出して、薄っぺらいお鍋でごはんを炊き(少し焦げた)、具は豪勢にアラスカンサーモン(BBQの残りに醤油をかけた)と秘蔵の梅干し。私はうちのママ式の丸いの、彼のママ式は三角で、海苔を巻いた後にちょっとお醤油をまぶすように塗りつけるのだそう。インスタントのお味噌汁お作って、広いアメリカサイズのキッチンのテーブルの端っこにふたりで座って、おにぎりを食べた。お互いの家の味を、交換しながら。

その時初めて、なんだか胸が詰まって食べものがうまく飲み込めないことを知ったのを、私達はたぶんずっと覚えているのだと思う。

海外で手に入る材料で、おにぎりを楽しむ。

20190728_160222-01
そんな心の味を、世界のあちこちで手に入る材料を活用して、楽しめたらあの時の私はもっと違ったわくわくした気持ちになれたかもしれない、と思います。それこそまさに、世界各地を転々と移り住んで生きる、私の心の食べもの。

ケイパーおにぎり

最初にご紹介したいのは、ケイパーおにぎり。塩漬けの瓶詰めが手に入りやすいと思います。きゅっとしょっぱくて酸っぱい、そんな味わいが、梅干しを彷彿とさせるので、おにぎりにも合います。おすすめは、軽く刻んで(そのままだとぽろぽろしてしまうので)ごはんに混ぜ込む方式。お茶碗一膳くらいのごはんに、小さじ1杯くらいが目安です。塩加減を控え目にして握ります。

この時、少しおめかしに干し菊を混ぜても彩りがきれいです。私は日本から軽いのでいつも干し菊を持参して、冷蔵保存(色が褪せないように)していますが、ハーブティー用のあまりフレーバーの強くない花弁もつかえます。特に、オーガニックのお茶用のカレンデュラがおすすめです。おにぎりの他にも、ほうれん草のおひたしなどに混ぜたり、酢の物にちょっと加えてもきれいです。

IMG_5820-01 (2)

ドライトマトおにぎり
以前、梅干しの代用の記事でご紹介した、ドライトマトのお醤油漬け、ただお醤油の入った小瓶にどぼんとつけておくだけの簡単レシピですが、これも梅干しのようなちょっと酸っぱいアクセントになります。おすすめは、おろし生姜を一緒に加えて。ドライトマトは小口切りにして、漬かっていた醤油はあまり絞らずに混ぜ込みます。ちょっと青のりをまぶすと風味もよくきれいです。

ドライトマトの醤油漬けの記事はこちらです。



スマックおにぎり

IMG_5880
トルコやコーカサスなどでよく使う「スマック」という木の実をすりつぶしたスパイスがあるのですが、ほんのりさわやかな酸味があって、ゆかりのような味わいです。塩と混ぜて、おにぎりにすると、ゆかり(赤紫蘇)のふりかけを混ぜたような味に。ヨーロッパでも、トルコ系のコーナーショップや、アジアンスーパーマーケットなどで手に入ると思います。

おにぎり以外にも、お弁当のごはんにちょこっとふりかけたり、塩もみきゅうりにまぶしたり、玉ねぎの薄切りにまぶしてサラダや肉料理のトッピングに、と幅広く使えます。

IMG_3959

菜飯おにぎり

20190406_132523
蕪の葉や、大根の葉を塩もみして作る菜飯のおにぎりは、栄養もあって、ほろ苦さがおいしい一品ですが、蕪や大根のはが手に入らないときは、ラディッシュの葉やセロリの葉でつくってもおいしいです。また、風味は違いまずが、コリアンダーの葉(シアントロ、パクチー)を塩もみにして、混ぜごはんにしてもおいしいです。この時干し海老などを加えても。菜飯には、ごまや刻んだナッツなども合います。

20190626_065610-01 (1)
このように、お弁当や行楽以外にも、ワンプレートランチなどにも相性がいいおにぎり。私は、おもてなしの後半に、お味噌汁と小さめに握ったおにぎりをサーブすることもあります。

海外の材料を活用して、ぜひちょっと目先の変わったおにぎりを作ってみてください。

こんなアイディアも
Twitter経由で、こんなアイディアを寄せてくださったamaneさん。アジアと欧州各国での駐在のご経験からのアドバイスです。やっぱりみんなのお気に入りはツナマヨですねー。とうもろこしも手に入りやすいので、来夏試してみたいです。